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[台東区 訪問看護]

2023年03月06日

侍ジャパンから学ぶ組織学習 〜トランザクティブメモリー

 いよいよ2023年3月にWBCが開幕します。侍ジャパンのメンバーを見ると名選手ばかりで、今から興奮してしまいます。特に、世界の天才、大谷翔平選手。野球に明るくない私でも、人気・実力の高さを知るところです。言わずもがな、天才ピッチャーと天才バッターの二刀流ですね。
 そして、以前の記事で、ナースプラクティショナーについて取り上げ「多能工化(マルチスキル化)」について触れましたが、この“二刀流”は、野球における多能工化、とも言えるかと思います。

 では、この「多能工化」
 大企業ならともかく、弊社のような在宅医療分野の小規模事業者において実現できるかというと、決して実現可能性は簡単なものではないものと思います。なぜならば、一人一人の業務負荷が多く、人的にも時間的にもバッファーの少ない状況下で、チーム全員がコンタクトパーソネルとして業務しながら、医師や看護師、ケアマネジャー、薬剤師、医療事務、リハビリ職等の別資格を取得し、さらに、兼業できるように業務調整する自体が相当な負荷となるためです。
 これを二刀流の大谷選手のチームマネジメントに当てはめると、まずピッチャーとバッターの双方で活躍できる能力・技術を獲得させ、さらに、その能力を最大限に活用するために、チームマネジメントを工夫してチーム全体を改変する、といったところでしょうか。一流の投球術・打撃術を一選手が習得することさえ大変な上に複数選手が同様に習得することは奇跡でしょうし、また、それを活かすべく打順オーダーや登板ローテーション等チーム全体を改変する必要も生じます。それが小さな野球チームであった場合は尚更、それ相応の困難が予測されます。

 しかしそれでも、以前の記事で触れた通り「多能工化」は労働生産性や組織効率性の向上に有効なものであると考えられ、この要素を取り入れる施策が必要となります。

 そこで、「トランザクティブメモリー」。直訳すれば「交換記憶」。1980年代以降経営学の分野において繰り返し研究がなされてきた組織学習の一概念です。
 情報共有は組織において必要不可欠ですが、そもそも個人ひとりでの知識保有量には当然限界があり、メンバー皆が同じ知識を持つような努力は効率的とは言えません。むしろ、効率的な業務遂行に必要なのは、同じ知識を保有することでなく、「誰がその知識(ナレッジ)を持っているか」をメンバーが把握し、それを“データベース化”するなどして円滑に「参照」し「活用」できる体制です。
 先の野球チームマネジメントで言えば、大谷選手ほどの不世出の二刀流はおらずとも、“各選手の能力を瞬時に参照・活用できるシステム”を築いた上で、一試合、又は、シーズンを通した試合の流れに沿って迅速かつ正確に適材適所に配置し、チームの全体最適を図る、といったところです。(“仰木マジック”や、理解できる方は相当なファンかもしれませんが不朽の名作『ドカベン』明訓高校時代の岩鬼選手、殿馬選手のポジションコンバートのイメージです。)

 このトランザクティブメモリーの研究は海外を中心に多くされており、そのなかに“対面コミュニケーションがトランザクティブメモリー向上に寄与する”という報告があります。(実際、仰木監督はよく選手たちとコミュニケーションをとる方だったようですし、ドカベンでもメンバー同士の深いコミュニケーションが描かれておりました。)そして、幸いにも弊社には、以前紹介した組織文化、すなわち、直接人と人とがコミュニケーションをとりやすいクラン文化であり、かつ、多様な人材で構成されています。
 そこで「今後、個々人の多能工化を視野に入れ個々人の成長を図りつつも、この組織文化を活かして組織学習の土壌の醸成・体制の構築をすすめていくべきである」と、侍ジャパンから指針をいただいた次第です。


 そして、謝意を込めて、とら訪問看護リハビリステーションは「侍ジャパン」を応援します。


(文:PT柳田)

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